20/07/25 葉真中顕『Blue』
こんにちは。本日は読んだ本の感想を書きます。
葉真中顕さんの『Blue』という小説です。ジャンルとしては社会派ミステリーでしょうか。
児童虐待の連鎖や無戸籍児、技能実習生問題が登場し、テーマは重いですが、読み物としては読みやすくどんどん読めます。
また、出版日が2019年4月であることにも表れていますが、もう一つのテーマとして「平成」という時代を振り返ることがあります。経済、政治、文化、災害等様々な話題が出てきます。無理やり入れていて、ストーリーの流れを逸れてしまっているように感じる部分もないわけではありませんが、それはそれとして楽しめるものになっています。
高度経済成長やバブルと比べて平成は全体として低調で、冷めた時代だったと語られることが多いと思います。国際競争力の低下、少子高齢化等で明るい見通しばかりではありませんし、各地の災害から復興できたわけではありません。ただ、少なくとも日本は戦争の当事者となることはなく、平和な時代だったと言えるかもしれません。また、世界的な潮流もあり女性の権利、障害者の権利、性的少数者の権利が認められるようになってきた時代でもあります。評価はさておき、政権交代も体験しました。いつの間にか令和2年も半分過ぎていましたが、平成を振り返ることができたのは面白かったです。
ミステリーとしても楽しめますので、ぜひ読んでみてください。
この作者さんは、他に『ロスト・ケア』『絶叫』等を書いていて、日本の社会問題に関わるミステリーを得意としています。詳しくは説明しませんが、興味があればぜひ。
今回は読書の感想を書いてみるつもりでしたが、ネタバレを避けたかったのでちょっと控えめにしました。それでは、さようなら。