2020/11/1 谷崎潤一郎『細雪』を読みました

前回の更新から少し空いてしまいましたが、改めてブログを書いていこうかと思います。

 

ずいぶん時間がかかりましたが、谷崎潤一郎の『細雪』を読んだというお話です。

 作者の名前はなんとなく知っていて、細雪も字面は見たことありましたが読みまでは知らず、図書館で出会ったので読んでみました。

新潮文庫で上中下巻に分かれており、なかなかの長編でしたが楽しく読むことができました。

 

あらすじなどを紹介する必要もないかと思いますが、大阪の上流階級・蒔岡家の四姉妹を中心に描かれる小説です。次女・幸子の立場から多く語られ三女・雪子のお見合いと末妹・妙子の生活が大体のドラマのテーマになります。時代で言うと戦中から戦後初期にかけて(統制や検閲にもあいながら)書かれた作品で、直接戦死者が出てこないあたり結構な身分の話だと窺えますが、きな臭くなっていく情勢は様々な描写で陰を落としています。

 

谷崎潤一郎の作風はあまりよく知らない状態で読んだので、他の作品がどうなのかわかりませんが、分かりやすく心情も描写してくれていて、言動だけから想像するのではなく、どう考えていそうかほぼほぼ明らかにされながら進みます。文章もさほど難しくなく、長さを除けば読みやすい作品だと思いました。ちゃんと読んで考えてももちろん面白いでしょうし、ストーリーを追うだけでも楽しめました。

読み終わった後に調べてみると何度か映像化もされていて(つい最近だと2018年の1月にも)人気になっている理由もわかります。

 

内容については、奇しくも結婚を扱っているということで「高慢と偏見」が頭をよぎりますが、日本にも体裁や身分を気にしなくてはいけない階級があり、そういう時代があったという点は比較すると面白いかもしれません。

パッと通読した感想としては、同じようなことの繰り返しに見える生活の中でも、少しずつ登場人物の考えや行動が変容していくところが面白く、成長なのか諦めなのかわかりませんが歳を重ねていく描写が印象に残りました。

 

ブログには書きませんでしたが(折角来たので)川端康成『雪国』も読みました。ゆっくり味わえばまた違うかもしれませんが、この作品が世界的にも高く評価されるほどの理由はよくわからず、個人的な好み(というかわかりやすさ)では細雪の方が上だと感じました。機を見て再チャレンジしなくてはと思いました。

 

研究や勉強もしなくてはいけないので、かかりきりにはなれませんが、大学院にいる間に代表的な国文学など色々読んでおいて、教養を深めようと思います。

 

来週からはちゃんとブログを更新できるように努めます。