22/02/13 podcastで勉強できる?

積雪で自転車が使えず、徒歩である程度の時間移動する機会が増えたので、podcastを聞き始めました。今までは、そういう時には音楽を聴きながら歩いていたのですが、たまには違うものを聞いてみようと思って、いろいろ探した結果podcastに落ち着いています。

podcastとは何か、ということを正確に把握できているわけではないのですが、「iOSに標準搭載されているアプリで、いつでも好きな番組を聞けるラジオ」のようなものです。

番組を制作・放送しているのは、個人の場合もあれば、メディアなどの企業や大学の場合もあり、多様なジャンルの番組があります。

 

私がよく聞いているのは、「COTEN RADIO」「ゆる言語学ラジオ」「コクヨ野外学習センター」あたりで、それぞれ歴史、言語学(主に日本語)、文化人類学あたりのテーマに関する番組です。

podcastを使ってみて感じたことを思いつくままに挙げてみたいと思います。

 

耳と頭が空いているときに埋めてくれる

視線を他に集中させるわけにはいかないが、頭はさほど使わなくていい時間に、空いている聴覚リソースを使って勉強や娯楽ができることが良い点だと感じました。同じような性質のラジオとは違って、いつでも中断・再開できるところも便利です。

もちろん、無理やり埋めないといけないと思っているわけでは全くなく、時には自然を感じながら自由気ままに歩いたり、鼻歌でも歌いながら一日を振り返ったりすることもありますが、頻繁に移動があると、気を紛らわせたくなる時もあります。そういう時に、新しい知識と出会えるのはささやかながら嬉しいことです。

 

受け身でいながら賢くなった気になれる気持ちよさ

自分の知らないことを本や論文などの文章から学ぶには、エネルギーが要ります。どんなに易しく書かれていたとしても、自分からページを進めなくては頭に入る機会すらありません。勝手に流れるものを聞くのは、ある意味とても楽であり、それによって分かった気になれるのはとても気持ちがよいと感じます。もちろん、頭を全く動かさないわけではなく、自分なりに聞いていて発見することもあるのですが、それに浸ってもいられない状況で、とりあえず次を聞くことになります。

学校で似たような状況になることがあっても、ノートに要点をメモしたり、後で課題やテストを課されたりして、聞いて終わりになることはほとんどありません。

自分で本を読むときには、メモしたり後でまとめたりということを考えることこそないものの、引っかかることがあればいつでも読むのを中断して考えられるし、そのモヤモヤと向き合いながら考えることが、ある種の重要な経験だと思いますが、podcastを聞くことは果たして趣味なのか勉強なのか曖昧な気がします。(ちゃんと環境を整えて聞いて考えれば勉強たり得るでしょうが)

良く言えば、「楽しく学べている」であり、悪く言えば、「学んだ気になっているだけ」かもしれません。

 

対話を聞くことの魅力

上で挙げた3つの番組はどれも複数の出演者がおり、だいたいメインの話題提供者・説明役と聞き役に分かれて話しながら、番組が進んでいきます。

一人で話している番組もたくさんあるのですが、対話を聞くことが面白いと個人的には感じます。聞き役を設けることのメリットは大雑把に言って、より分かりやすく、より面白くなることが挙げられると思います。

聞き役が質問したり、確認したりすることで、リスナーからしても説明がほしいところをより詳しく具体的に聞けたり、一度考えを整理したりできます。上手な説明者ならこの辺りを察しながら組み立てるのでしょうが、聞き役を設けることで、自然と改善されるのは興味深いです。

また、聞き役は単に「いい生徒」であるばかりでなく、キャストとして冗談を言ったり、独自の視点から質問したりして、エンタメとしても内容的にも面白くするために貢献しています。過剰なウケ狙いは人によってかえって寒く感じてしまいそうですが、ほどよいボケは、難しいテーマの時にはほっと一息つける瞬間になります。

 

教科書や学習参考書の中には、架空の生徒役を出演させて、勘違いして間違えさせたり、「いい質問」をさせたりと楽しく学んでもらおうという工夫がされているものもあります。ただ個人的には、作者の創作だと妙に察しがいいのが鼻についたり、急成長ぶりにご都合主義を感じたりと、好みではないことが多かったです。podcastの番組にも台本はある程度あるでしょうが、無理のない聞き役がいることで聞きやすくなっていると感じました。

 

周りのリスナーの存在感が薄い

podcast自体はおそらく昔からあり、今ではyoutubeにも同様の内容をアップロードしながらpodcastの更新も続けているという番組もあるようです。

youtubeが勉強に活用できるツールとしてコンテンツが充実してきていることは間違いなく、様々な解説動画がピンからキリまであるはずです。(そういう類の動画はあまり見ないので、具体的な内容まではよくわかりませんが)

ここから先は完全に個人の嗜好の問題だと思いますが、youtubeは良くも悪くも、投稿者と視聴者が双方向的にやり取りでき、かつ他の動画と数字によって比較できてしまうプラットフォームだと思っていて、ちょっと真面目な話をするということには向いていないと思うのです。

番組や動画を作る側からすると、視聴者のコメントや数字に表れる反応を通して、モチベーションにつながったりコンテンツの改善につなげられたりして便利な面もあるでしょう。

ただ、勉強するとなると、そのような情報がかえってノイズに感じてしまい、内容自体と正しく向き合いにくいような気がします。

もちろん、一旦自分で視聴して考えたことを他の人と共有してみたいというのはありますが、視聴する前からごちゃごちゃとした情報は欲しくないのです。

本屋のように、仕入れ数や場所から本屋の「売りたい気持ち」が見えてしまい、〇〇賞やランキングを喧伝するポップに囲まれて本を選ぶよりも、図書館から自由気ままに本を探す方が何となく好きなことに似ているでしょうか?

 

脱線しましたが、podcastは、再生回数や個々のエピソードへの評価がなく、自分の感性のみで向き合うことができます。(番組自体への評価や、そもそも人気がある方が目に留まりやすいということはある)

そこがなんとなく落ち着くのです。

 

 

 

こんな感じで、思いつくままに挙げてきましたが、podcast意外といいじゃんというのが今日言いたかったことです。clubhouseが流行ったときに、システム的にも色々となぜ流行るのか分からなかったのですが、今になって、少なくとも人と人が話しているのを聞くのは楽しいと思いました。